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タイ南部最大の商業都市・ハートヤイ(ハジャイ)には多くの華人が住んでいます。
タイ南部の中国系住民というと、プーケットタウンをはじめとして錫鉱山の労働力としてやって来た人たち(の末裔)が多いのですが、ハートヤイの場合は、錫鉱山というより20世紀初頭にタイ南部の鉄道敷設の労働力が中心だったようです。
華人系住民が多ければ当然中国寺院(道教寺院)も多くありますので、限られた時間の中で出来るだけ巡ってみましょう。
1.サーン チャオ ホック テック ペ コン ハートヤイ(合艾福徳伯公廟)
空港からのバンを降りた時計塔そばからハートヤイ駅方面へ向かう途中、ペットカセーム通りから少し入った所にありました。
タイの道教寺院では天公炉の代わりに天地父母炉があり、最初にお参りします。
主祭神は福徳正神、伯公・大伯公・土地公とも呼ばれます。
福徳正神は土地の守り神で、白髪・白髭の老人、杖と元宝(馬蹄形の金塊)を手にしている姿が一般的です。
こちらも福徳正神の神像かな。
地主爺は床が定位置。
2.サーン チャオ ポー スア(玄武山北極真武廟)
ニパットウーティット2通りを南へ行ったところにあります。
入口には亀と蛇の像があります。主祭神の玄天上帝は、四神の北方を守護する玄武が擬人化した神様で、玄武は亀と蛇が合わさった姿をしています。
玄天上帝、華光大帝、蔭峰大帝、周老師、桃仙姑。玄天上帝は亀と蛇を踏みつけた姿で表現されます。
慈悲娘娘、大聖佛祖、三王爺。慈悲娘娘は観音菩薩の化身とされ、特に潮仙(潮州・汕頭)地区で信仰されています。大聖佛祖は斉天大聖とも言い、孫悟空を神格化した猿の神様。
楊府公公、當年太歳(今年の太歳星君)、福徳伯公。太歳星君は十干と十二支を組み合わせた六十干支(60種類)あり、毎年担当が変わります。
虎爺もいらっしゃいました。
3.サーン チャオ プラ ムーン オーン(崑崙山萬佛廟)
ここは閉まっていて入れなかったのですが、名称に「プラ」とか「佛」とか付いているので、道教ではなく仏教系でしょうか。
4.サーン チャオ クアン ウー ハートヤイ(合艾関帝廟)
市街地を東に進み、川(運河?)を越えて、ソイ・ラマーイソンクラウ1という路地にあります。
正面の思遠祠はたくさんの位牌?が安置されていて、先賢・先祖を祀る祠でしょうか。
関帝廟は左手。
先ずは天地父母炉から参拝と思ったら・・・
天地父母ではなく、「天官賜福」の神位でした。道教の最高神である玉皇大帝の下に天官・地官・水官の三官大帝がいて、天官は天を司り、人々に福を授けるとされます。
天官賜福の神位は、ペナン・ジョージタウンなど福建系華人の住宅・店舗前に祀られているイメージですが、管理人のおばさんと会話をしたところ、この合艾関帝廟は客家系でした。ただ祀っている神様は天地父母と同じような事を言っていましたが。
関帝廟の前には、関羽の乗り物である赤兎馬が祀られてる神駒亭。
本殿内の中央には赤ら顔が特徴の関聖帝君(関羽)、両脇には関平と周倉を従えます。
向かって右には財帛星君。
左には医療・健康の神様、華陀仙師。
床に安置されているのは地主爺。
5.サーン オン ユワ テープ ターム クン ヤー(譚公仙聖亭/譚公廟)
グーグルマップでは事前に見つけていなかったのですが、関帝廟の目の前にありました。
主祀神の譚公仙聖は初めて知りましたが、ネット検索によると、13~14世紀の広東省恵州市出身の神童で、海の神として主に香港・マカオなどで信仰されているらしい。ということは、ここは廣東系の道教寺院ですね。
向かって右手には大峰祖師、北斗星君、寿星公、南斗星君が祀られています。
左手は中国を代表する8人の仙人、八仙祖師。
6.ローン ジェー チョン シアン トゥン(崇善堂)
上記の合艾関帝廟及び譚公仙聖亭と同じ路地にありました。閉まっていたのですが、グーグルマップによると「ローン・ジェーとなっているので、菜食道場的な施設でしょうか?菜食というと九皇爺(九皇大帝)信仰が頭に浮かびますが、こちらは仏教系?
7.ムーンラニティ トン シア タン ハートヤイ(合艾同聲善堂)
スパサーンランサン通りを東から西へ、川(運河)を越えた所に中華門があります。この辺りがチャイナタウンということでしょうか?ハートヤイは町全体が中華街という気がしないでもないですが。
スパサーンランサン通りを西へ進むと出てきたのが、ムーンラニティ トン シア タン ハートヤイ(合艾同聲善堂)。
タイには報徳善堂や義徳善堂など〇〇善堂といった華僑系の慈善団体が多く、合艾同聲善堂はハートヤイ最大の慈善団体です。善堂は事故・災害時のレスキュー、病院搬送、遺体回収などを行います。
レスキュー部隊(救護隊)が入る建物。
こうした善堂活動は大峰祖師(宋大峯祖師)信仰が元になっています。特に潮州系の人々に信仰されているので、華人の過半を潮州系が占めるタイでは善堂活動が盛んという図式です。
敷地内には大峰祖師廟もあります。
中央に祀られているのが大峰祖師。大峰祖師は宋代の僧侶で浙江省温州生まれ。晩年広東省潮陽県(現在の汕頭市潮陽区)で洪水が発生した際に、遺体回収や被災者の救護を行ったことから崇敬されるようになりました。汕頭市は潮州人(潮仙人とも)の多い地域です。
向かって右手には林府姑娘。イスラム教のパッタニー王国へ婿入りした兄を連れ戻そうとしたが、兄は聞き入れなかった為、絶望し自殺してしまった悲劇のヒロインとされる女性。パッタニーをはじめ、特にタイ南部の華人に信仰されている女神です。
左手は土地の神様・福徳伯公(福徳正神)。
地主爺。
こちらの三寶佛公と書かれた社には弥勒菩薩(布袋)など仏教の仏様が祀られています。
龍柱でしょうか?
道教、仏教の他に、ガネーシャ(タイ語でピカネート)やブラフマー(プラ・プロム)などヒンドゥー教の神様も祀られ、信仰のワンストップサービス。
8.ワットチューチャーン(慈善寺)
合艾同聲善堂からスパサーンランサン通りを更に西へ歩いていった所にある仏教寺院。但しタイで主流の上座部仏教ではなく、中国・ベトナム(日本も)などで信仰される大乗仏教寺院なので、いわゆるタイの仏教寺院とは造りが異なりますね。
装飾タイルで埋め尽くされており目を引く外観です。ここは観光名所にもなっているようで、参拝客がチラホラいました。
9.ワットターウォンワラーラーム(慶壽寺)
ワットチューチャーン(慈善寺)の近くにあった、こちらも大乗仏教の寺院。
朝から曇りがちでしたが、雨が降って来ました。スコールのように激しく降って来たので、途中雨宿りもしながら、小雨になって散策を続けます。
福建省出身者の相互扶助・親睦施設の泰南福建会舘(サマーコム ホッキアン ハートヤイ)の跡地?もう入っていないような雰囲気でした。
10.サーン チャオ メー タップティム ハートヤイ(合艾水尾聖娘廟)
続いて海南省出身者の相互扶助・親睦組織の泰南海南會館へやって来ました。ハートヤイ駅の正面から出ているタムヌーンウィティー通りにあります。
目指す水尾聖娘廟はビルの2階にあって、アウェーの人間にとっては非常に入りづらい雰囲気ですが、意を決して入って行きます。
エレベーターで2階に上がり、いつものように管理人さんに挨拶して、画像撮影をしても良いか尋ねると、問題なくOKです。タイ国内の道教寺院には数十箇所参拝していますが、今まで断られた記憶はないですね。
中央に祀られているのは、海南特有の漁業・航海の女神である水尾聖娘(タイ語でチャオ・メー・タップティム)。
向かって右手には天后聖母(媽祖)。天后聖母もタイ語でチャオ メー タップティムと言うのですが、ここではプラ・テープ・テーウィーになっていました。
向かって右手には、こちらも海南特有の神様である昭應英烈(昭應公)。ベトナムから故郷の海南島へ戻る途中、海賊に襲われて亡くなった海南人108人の英霊で、108兄弟公などとも呼ばれます。
11.サマーコム ハーカー ハートヤイ(合艾客家會館)
海南會館の1ブロック先に客家人の相互扶助・親睦施設である合艾客家會館。なかなか立派な建物ですね。
ハートヤイに華人の移民が始まった初期の有力者が客家人の謝枢泗(ジア・キー・シー、タイ名:ニパット・チーンナコン)でしたので、ハートヤイでは潮州系と並んで客家系の勢力が強いようです。
礼拝施設は別になっていて助かった。三聖堂という名称でした。
先ずは天地父母炉からですね。
ここも「天官賜福」の神位です。上記の4.サーン チャオ クアン ウー ハートヤイ(合艾関帝廟)と同じだ。あそこも客家系と言っていました。
殿内の中央には観世音菩薩。
向かって右手が財神爺。脇のパイナップルの像が気になりますね。パイナップルは福建語や客家語で鳳梨・黄梨と言い、幸運・福が来るを意味する「旺來(オン・ライ)」と発音が同じことから、縁起物のフルーツとされます。
左手は関聖帝君(関羽)でした。
時間があればもう少し離れた神社まで足を伸ばしたのですが、今回は雨も降っているし、これにて終了です。
ハートヤイは道教寺院巡りを趣味とする私にとってはテンションが上がる街でした。ただ観光客どころか地元の人にもほとんど出会わず、管理人さんだけという所ばかりでした。他の参拝客がいないので、画像撮影はしやすかったでけど。































































