午前中に高山市三町重要伝統的建造物群保存地区の上三之町を歩いていると、人だかりが出来ています。
何か事件・事故なのだろうか?
あわてて駆けつけると、舩坂酒造店で1階の屋根に登り、新酒が出来たことをお知らせする杉玉を軒先に吊るしていました。舩坂酒造店は江戸時代から続く老舗の造り酒屋です。
立派な杉玉は直径80cm、重さ90kgにもなるそうです。
地元のテレビ局や新聞社なども取材に来ております。
杜氏の方が口火を切り、飛騨地方伝統の祝い唄「めでた」の唱和。
社長による挨拶。コロナ禍で杉玉奉納会の休止が続き、今年は4年ぶりに開催出来たそうです。需要が大きく減り、かなり厳しい・苦しい時期が続いていたようですが、ようやく明るい兆しが見えてきたようなことをしみじみ語られていました。
社長、杜氏、顧客代表、取引銀行の方による鏡開き。深山菊というのが舩坂酒造店の代表銘柄です。
そして中庭に移動して新酒が振舞われましたので、私もありがたく頂きました。
升のヒノキの香りも相まってとてもおいしい日本酒でした。
升は記念に持って帰れるようにビニール袋も用意されていました。
杉玉奉納会という伝統行事に遭遇するなんてとてもラッキーでしたが、これとは関係なく舩坂酒造店には行こうと思っていたので、夕方再訪しました。
お目当ては店内にある日本酒コインサーバーのコーナー、いろんな銘柄を少しづつ楽しめるようになっているのです。
先ずはコインを購入します。100円/1枚、300円/3枚、500円/6枚、1,000円/13枚から選べ、私は500円/6枚にしました。
1コイン使って、ガチャポンの機械でお猪口を購入します。ビニール袋が用意されており、飲んだ後のお猪口は持って帰ることも可能。次回以降はそれを持ってくれば再度購入する必要はありません。
各日本酒サーバーの右側の投入口にコインを入れ、注ぎ口の上のボタンを押せばお酒が出てくるという仕組み。お酒は全部で15種類程度ありました。
1コインでこの程度の量が注がれます。但しプレミアムと書かれている高い酒は量が半分になります。
私が頂いたのは下記5種類。勿論コインを買い足せば、もっと飲むことも出来ます。
杜氏の玄(プレミアム)。
しぼりたて生酒 純米吟醸深山菊 無濾過生原酒(冬季限定)。
純米大吟醸 杜氏 平岡誠治(プレミアム)。
杜氏の宴。
リキュール ゆず酒 ゆず兵衛。
甘口・辛口、濃厚・淡麗、味は様々ですがどれも本当においしかった。私自身お酒を好んで飲む方ではなく、スーパーなどで売っている「とりあえずアルコールなので酔える」みたいな日本酒にはネガティブな印象しかないのですが、こちらの日本酒はどれも積極的に飲んでみたいと感じるものばかりでした。また先入観からもしれませんが、プレミアムの方が雑味のない上品な味わいのように感じました。雑味もそれぞれの日本酒の個性で楽しめますが。
舩坂酒造店では2022年から「飛騨高山蒸溜所」というウイスキー専門の蒸留所も設立しています。江戸時代から続く老舗ですが、2009年に創業家一族から飲食店・旅館などを経営する「アリスグループ」に事業承継されており、新しい現代的な発想で経営されている造り酒屋のようです。