ハイフォンはベトナムの中央直轄市で、ホーチミンシティ、ハノイに次ぐ第3位(市の範囲の定義によってはカントーに次いで第4位)の人口規模を持つ港湾都市です。
交通・物流の要所であるハイフォンに華僑・華人が集まって来ないわけがなく、19世紀末から20世紀前半にかけて急増、チャイナタウンが形成されました。出身地としては広東系が多かったようです。
位置的にはタムバック川とボナル運河(後に埋め立てられ公園になり、一部がタムバック湖として残りました)、現在で言うとタムバック川とタムバック湖の間あたりが中華街の中心となります。
チョロンを含む旧サイゴン(現ホーチミンシティ)に比べるとはるかに少ないですが、それでもハイフォンの華人人口は最盛期には数万人から10万人超には達していたとみられます。ベトナム戦争による混乱や中越戦争前後の華人排斥運動により大半のハイフォン華人は国外へ脱出し、チャイナタウンも衰退しました。
先ずはファン・ボイ・チャウ(Phan Bội Châu)通りから。
下の画像の向かって左側の店は獅子舞の着ぐるみ(頭)みたいなものなどを売っており、中国っぽいと言えば中国っぽいですが・・・そもそもベトナムという国自体が中国の影響を大きく受けており、オリジナルは中国でも既にベトナムの文化・風習になっているものも多いので、これがチャイナタウンの名残かといえば微妙なところです(日本にも言えることですが)。
ここにはタムバック市場(Chợ Tam Bạc)又はドー市場(Chợ Đổ)と呼ばれるマーケットがあったのですが、昨年2023年2月に火事で焼けてしまい、取り壊されたようです。
かつては華商會館兼三婆廟(阿婆廟)だった建物が市場の一部として使われていたらしいのですが、これでしょうか?
この通りは雑貨や服などを売る店が多い印象でした。
続いて1本北側のリ・トゥオン・キエット(Lý Thường Kiệt)通りに移動してきました。
この通りは野菜・果物、肉、魚など食料品を売る店が多いです。
生鮮食料品だけでなく、調味料や乾物などを売るお店も。
朝という時間帯のせいか、非常に賑わっていますね。
豚足を焼いています、美味しそう。
華人排斥運動もあったせいか、ベトナムの中華街はホーチミンシティ(チョロン)でもほとんど漢字は目に付きませんが、ここハイフォンでは皆無でした。またチャイナタウンに付き物の中華廟(道教寺院)や会館なども現在は見当たりません。もう現役のチャイナタウンではなく、「元」「旧」チャイナタウンですね。